Counseling in Tokyo

うつ病について

カウンセリング東京:「うつ病」

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うつ病

「うつ」が記述的な言葉として使われた場合、それは気分の低迷、落胆、倦怠感、失望感などの意味を表します。これらの感情の状態は病気のうつでも臨床的うつ状態でもなく、すべての人にとって普通の感情的反応です。

落胆や気分の低迷は、誰もが持っている、通常は意識上の自尊心の中の小さな欠陥が何らかの状況により刺激され、それが引き金となって起こります。これらは同級生から無視されたときや、良い仕事が他人の手に渡ってしまったり、恋愛関係の誘いを拒否されてしまった、などが含まれるかもしれません。これらの問題は通常軽く、自己制御ができるため、ストレスや敏感さの度合いが過度に大きくなければカウンセリングなどの対処法は必要ありません。

人格障害とうつ病

自尊心に対し、深く又は多大な欠陥を持つ人々は(例:愛されていない、必要とされない、見下される、認められない、無能力だ、などと感じることを中核問題としたり精神の枠組みとしている)中核問題が「自身」や人格に根付いているのかもしれません。ひどくなれば、人格障害といいます。この低迷した気分は、これらの欠陥(無視される、拒否されるなど)の刺激により悪化するでしょう。

これらの人々が感じる落胆や気分の低迷は、ソフトウェアの問題のようなアイデンティティーや性格上よくないところで、ハードウェアのような脳の病気ではありません。これらの問題により過度に性格に影響がある人々は人格障害の基準にみ合っているかもしれません。これらの問題の治療には、人格の再構成に的を集中させたセラピーが好ましいです。中核問題防衛・パラディグム認知療法を使った精神力動学療法が役立つでしょう。

うつ病 (医学的又は生物学的)

気分の低迷が主な症状である病気、うつ病(大うつ病とも呼ばれる)がある中で、うつという言葉は誤解を招きやすいのです。なぜなら、気分の低迷のほかにもたくさんの症状が行動(スピードの遅さ、無関心さやだるさ)、認識(集中力の低下、考えの不足又は欠陥、記憶力の低下)、社交関係(回避、劣等感)、自尊心(自尊心の低下による罪悪感、絶望感、自殺の考慮)や身体に現れる症状(睡眠と食欲の増加、性衝動の低下、頭痛、耳鳴り、めまい、便秘、筋肉の痛みなど)としてあるからです。また、うつ病の主な特徴は生活における興味、喜びの減退です。別の観点から考えると、喜びを覚える閾値(喜びを感じれる最小のレベル)が引き上げられています。そのせいで、正常な気分を感じるために、刺激の高い活動(危険性の高いスポーツ、麻薬乱用、ポルノ雑誌・売春など)に夢中になるうつ病患者もおられます。

低迷した気分以外にもうつ病の症状は多々存在するため、うつ病を抱えていても「病気のうつ」はない、と結論を出すこともあります。また、妻又や夫がうつ病の場合、もし治療により気分が上昇してもいくつかの症状は残るため、やはり相手のうつ症状を受け入れることは難しくなります(「私の夫はなぜ家の掃除や仕事ができないのだろう」はこのような場合に共通する悩みです)。 不安感はうつ病の大きな症状のひとつになりうるのです。このトピックに関しては、こちらのページをご参照ください。

うつ病の発病とその進行は、ストレス時の後突然起こる場合もあるが、数ヶ月や数週間にわたって少しずつ進行する、前兆期間があることが一般的です。人によっては明確なサイクルを示すこともあれば、持病に発展しかねることもあります。このサイクルを経験する人は、しばしば自分は病気ではない(症状が回復することにより)と感じることが多いようです。うつのサイクルのみの症状が現れる人は反復性うつ病といわれます。部分的回復や改善はあるものの、すべての症状の消滅やそれに匹敵する度合いの改善は珍しいとされています。類似として、「狭心症」(動脈硬化により心臓への血液の供給が少なくなり、胸痛が生じてしまう)が挙げられます。狭心症の胸痛は、急に動く時に生じ、動いていないときは症状がありません。しかし、症状がなくても、明らかに病気はあります。

うつ病が慢性的・反復的になった場合、かつ家族にうつや他の気分障害を持っている方がいて、また、うつの原因として明らかな特定なこともなく、これら様相があればあるほど、この人のうつ病は「内因性」の自然に起こったものであり、抗うつ剤などを長い目で飲まなければならない可能性が高くなります(糖尿病や甲状腺疾患と同じように)。 この場合、抗うつ剤を辞めれば、もとのうつ状態に戻ります。薬を飲むから必要ではなく、うつは自然の状態です(同じように、糖尿病も自然です)。たとえば、車に引かれて足の骨が折れると骨の治療を要するが、治ったらもう治療は要りません。しかし、生まれつきの骨代謝障害があれば(例:低フォスファターゼ症)、繰り返し骨折し、骨の治療は一生になります。うつ病の場合、ある程度大きくなってから症状が出て(十代以降)、症状が出る前からも病気があったことの受け入れはそう簡単ではありません。同じように、動脈硬化は高血圧や心疾患の症状が出る前に始まり、ある程度進行しなければ症状は現れて来ないのです。

一生涯におけるうつ病発症率は、女性が15%、男性が7%です。平均発病年齢は20代中頃です。治療をやめた場合や症状がテンポ良く改善されても、再発の確率は約60%です。うつ病は一等親内の親族で2倍の割合で発病する確率があり、遺伝子の影響があるとされています。なかには過去に起こったつらい経験やトラウマをうつの原因と考える人もいますが、このような過去の経験のある人たちのほとんどは、うつ病とは診断されません。

うつ病と診断された人々における大きな問題のひとつとして、うつという病を自ら受け入れることの難しさです。そのひとつの原因としてうつ病の慢性化の傾向があげられます。うつ病は、比較的軽いまたはやや重い症状として表れ慢性的です。慢性的で比較的軽度のうつを気分変調症といいます。これらの人たちは軽度のうつ状態や、少々のエネルギーの低下は普通だと考え、この状態からかなり下がった段階に至って初めて助けを求めにきます。この段階を「二重うつ状態」と呼ばれます(気分変調症のリンクで説明)。多くの人が我慢強く禁欲的でその状態が何年も続きかなり下降するまで待ってしまいます。そしてやっと助けを求めにきても、やはり自らの病を受け入れることは難しいのです。これは自らの弱点を受け入れたくないという考え、すでにうつ状態の場合には容易ではありません。合理化や否定は、よくある心理防衛手段で、うつ病を受け入れることを避ける際、現れます。

この傾向は多くの才能を持つ人によくみられ、さらにこの高い包容力により、彼らはまた通常レベルで機能でき(彼らの基準では低迷しているが)、自身を、さらにはセラピストをもうつ病はないとごまかしてしまいます。例えば、能力と技術を失った物理学者が(自らの研究を続けることができなくなった)他の学者の研究所の見直しをしたり、成功していたMBA取得者が職場のストレスに耐え切れず集中できなくなり英会話講師になったり、など。躁病症状の発現(下記参照)がみられる人は又、しばしば自己の責任を他人に押し付けたりもします(投影(防衛機制)の一種)。

他のタイプのうつや気分障害(「衝動的」とも呼ばれる)の症状も含め、うつ病の原因を見ていきましょう。そして最後にうつ病の治療法について説明します。

うつ病のページ2


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